都内某所H宿・・・
個性豊かなファンションと、たくさんの若者や外国人で賑わい、
多くの芸能人やアーティストが、国内外ともに訪れる、流行発信の街。
そんなお洒落タウンを、ボク、下野紘は、足早に歩いていた。
今日は、いつもより早く仕事が終わり、
急いで帰って、家でゆっくりしよう思っていたからだ。
早く帰って、何をしようかな・・・?
好きなモノを作って食べようか、はたまた、サクッと食べて別なことをしようか・・・
あ、ゆっくり風呂に浸かるのもいいなぁ。
それとも、ガッツリゲームをするか・・・最近、家で出来てないし。
それとも、ちゃんと睡眠をとるべきか・・・体調管理も仕事のうちだもんね!
・・・そんなことに思いを馳せながら、駅前まで来たとき・・・
ん?
ふと、何かがボクの視界入った。
あれ?なんか見たことのあるモノが・・・
ボクは・・・
A、気になるな、戻って見てみよう。
B、いやいや、きっと気のせいだろ!
・・・いやいや、きっと気のせいだろ!
それよりも、早く帰って貴重な時間を活用せねば!
でも・・・
A、やっぱり気になるっ!!
B、いや、それよりも帰って、いろんなことをしよう!!
・・・やっぱり気になるっ!!
何よりも、ボクの第六感(・・・ほとんど皆無に等しい程度の)が、
ちゃんと確認しろと、訴えかけているっ!!
よし、戻ってみてみよう!
そう思い、ボクが踵を返すとすぐ目の前に、衝撃的な光景がっ!!!!!
・・・こ、これはっ!?
ボ、ボクの演じた、藤堂平助じゃないかっ!!
な、何でこんなところに落ちてるんだっ!?
えっ・・・
・・・ワザトジャナイヨネ?
わ、わざとじゃないよねっ!?
と、とにかく、回収しなきゃ!!
・・・。
・・・くっ、シールなのか!!
しかも粘着力、強っ!!
全然剥がれないし!!
あ・・・人が見てる!
うわっ、はずかし過ぎる〜〜!!
ダメだ、何事もなかったかのように、この場を去らねば!!
・・・ボクは泣く泣く、彼をその場に置いて、家路につきました。
−数日後−
同じ街を訪れたボクは、彼がどうなったのか気になり、
駅前まで足を運んで確認しにいきました。
しかし、彼はもうそこにはおらず、
人々の行き交う日常が、流れていくのを、ボクは見つめていました。
彼はきっと、素敵な誰かに拾われたに違いないさ。
「藤堂平助・・・忘れない。」
ボクの小さな呟きは、冷たい冬の風に吹かれ、
真っ暗な空の中に、消えていった・・・。